森田実・副島隆彦「アメリカに食い尽くされる日本」

政治評論家森田実(1932年生まれ)、政治評論家でもありアメリカ政治史研究者副島隆彦(1953年生まれ)の初対談本が「アメリカに食い尽くされる日本 小泉政治粉飾決算を暴く」(日本文芸社)です。

たまたま手にとる機会があり、読む事になりました。面白いといえば面白い、切り込んでいるといえば切り込んでいる本でした。

副島氏、人脈中心の分析方法で、日本がアメリカにどうとりこまれているかを語っています。ご本人「属国・日本論」(242ページ)が専売特許(242ページ)といっています。森田氏も事実上の植民地国家日本(138ページ)の状況を憂いている点は同じです。

日本がアメリカに食い尽くされることのないようにという二人の危機意識、問題意識は、強いものがありました。政官財の指導者や日本の保守言論人はアメリカの手先の買弁勢力と切り捨てる副島氏、消費税率のアップを含め増税はもっとも安易かつ危険は愚策と言う森田氏、多方面にわたって熱っぽい話が続きます。

森田氏は日本のマスメディアは電通に支配されているとして、電通を批判したそうですが、それでテレビ出演依頼はなくなったという発言には驚かされました。また副島氏は、活字による出版言論の場がせばまり、保守もリベラルも物書きとしては生き延びられない状況があるということにも驚かされました。

読者がすべてが納得し腑に落ちるような対談ではなさそうです。民主党小沢一郎氏への期待の高さにしても、どうなのでしょうか。何点つけられる本なのか、100点満点とはいえないようです。しかし、思いの強さ激しさは辛口の発言とともに伝わりました。ふたりの評価する言論人も少なくはないことも面白いことのひとつでした。

(前荷進)