加藤紘一「テロルの真犯人」

自民党代議士加藤紘一氏が、65歳の「老テロリスト」により山形県鶴岡市の自宅件事務所に放火されたのが2006年8月15日。加藤氏の小泉首相(当時)の靖国神社参拝批判が、遠因とも言われています。そのことに触発された加藤氏の著作「テロルの真犯人」が、同年末講談社から出版されていました。

政治家加藤紘一が、生まれや生き様を振り返り、あわせて事件とその真因を加藤氏なりに掘り下げています。外務官僚として経験を積んだ後、政治家だった父の地盤を継ぎ、代議士となりました。豊かな視野と感性を持ち合わせて、さまざまな場で活躍をしてきたこと、うかがわれます。対米一辺倒ではない国際的見識も示されています。

事件後、産経新聞も社説で「加藤氏はこれからも靖国問題などで自分の考えを曲げず、活発な論戦を展開してほしい。民主主義社会は多様な言論が必要だからだ。(中略)いかなる理由があるにせよ、民主主義社会でテロは絶対に許されない。」と主張してくれました。ひろく多くの励ましがよせられたそうです。

本書の最後は、加藤氏のこれからにむけての決意でもあります。
「第7章で私は、『自由電子化した日本人たちをもう一度地面につなぎとめるには、地域社会の再生以外にない』と書いた。さまざまなコミュニティーから切り離され、電子メディアに囲まれて、存在そのものがフィクションになりかかっている。
テロルの真犯人は、根無し草的に漂う現代人の心の隙間にこそ潜んでいるのである。
それを放っては、おけない。」

以上 (世話人) 070407