「冥誕 加藤周一追悼」

かもがわ出版より2009年12月に加藤周一さんの追悼集が出版されました。「冥誕 加藤周一追悼」です。28人の方々からの弔辞あるいは追悼の文章が収録されています。

加藤周一さんは、「九条の会」の発案者であり、発起人のひとりとなり、九条の会アピールの9人のよびかけ人のひとりでした。2008年12月89歳で亡くなられましたが、人生の最後というべき時期に九条の会を立ち上げるという積極的に外部に打って出る行動に出ました。その加藤さんをしのぶ文章が、多面的な活動をし、仕事をしてきた姿を示してくれています。

戦争体験を原点とし、その故に現日本国憲法九条を大事にされた加藤さんは、草の根の「九条の会」は「長丁場」であることを意識し、「日常性に結びつけなければいけない」と強調されていたそうです(114ページ 小森陽一)。小森さんも草の根の九条の会について、「まさに一人ひとりが憲法で保障された諸権利を行使するために『意見』を表明し、それを実現するために行動し、主権者になっていく、それが『九条の会』運動なのである。」と述べています。広がりのある運動とするための考えも深かったことが伺われます。

機会関心ありましたら、ぜひお読みください、というのも月並みなセリフです。ですが、加藤さんの人となりを知り、思いを知るものとしては、読みやすくまことに手ごろな本です。私にとっては活字(いくつかの本人の文章)の上でしか知らなかった加藤周一像を、具体的なイメージに高めてくれました。

以上 (あほうどり) 100117