井原勝介「岩国に吹いた風 米軍再編・市民と共にたたかう」

山口県岩国市の前市長井原勝介さんが2009年11月に「岩国に吹いた風 米軍再編・市民とともにたたかう」(高文研)を出版していました。

淡々とした語り口の中に、再選を期した市長選挙で敗れた経過が述べられています。当時の自民党政府や地元の迎合勢力の圧力や手口が詳述されていることが、特徴のひとつでもあります。2008年2月のことでした。井原さんの生い立ちから市長への歩みも簡潔に記されています。

でも、井原さんは歩みを止めていませんでした。2009年4月、新しい政治グループ「草の根ネットワーク岩国をたちあげ、勉強会「草莽塾」を開設しました。

あとがきで井原さんは言っています。
「(2009年8月の)政権交代を機に、情報を積極的に公開し、市民とともに考えるという姿勢でのぞめは、どんな難問であろうと必ず解決の糸口は見つかるはず。基地問題であろうと例外ではない。ーー
 市民とともに吹かせた『風』、その背景には、押し止めることのできない歴史の大きな流れがある。
 新しい政府が誕生し、完了主導から政治主導へと政治の仕組みに劇的な変化が起こっている。時代の風を受けて、民主主義と自治を守る『岩国のたたかい』は、新たな段階に入る。市民の1人として、私もそのたたかいに加わる。」

短く断片的なマスコミ報道で、岩国市のことと井原市長の奮闘のことと再選されなかったことを、知識として知っていました。しかしそれも2008年2月の市長選挙まででした。

歩みは引き続き続けられていたのです。それをしっかり認識する意味でも、本書は、時宜にもかなっています。

以上 (あほうどり) 100503