野中広務さん、「戦争と平和」と題して札幌で講演

12月8日、札幌で、元自民党代議士野中広務さんが「戦争と平和」と題して講演を行いました。

主催は、「12・8戦禍を語り継ぐ会」で、もう20年以上も12月8日に集まりを続けてきたそうです。浄土真宗のお坊さんが中心に取組みを進めているようで、今回は、浄土真宗のご縁で野中さんに講演を依頼、実現したとのことでした。講演あと、主催者による追悼法要が第二部として行われました。

野中さんは、1925(大正14)年、京都府生まれ。中学(旧制)を卒業後、鉄道省に奉職、その間、応召で兵隊生活を過ごし、高知で終戦を迎えました。そのとき、坂本竜馬の像のところで、友人の兵士と自決しようとまで思いつめたそうです。戦争に負けるはずがないという考えが本人は微動だにしなかったのに、敗戦がつきつけられたからでした。国のためにということが何の迷いもなく思い込まされていたということを、ふりかえって語ってくれました。

今の世の中で非常にあやうい状況にあること、12月8日真珠湾攻撃のその日であるのに、当時あれほど戦争を鼓舞した新聞が、そのことをふりかえっての記事がないことを悲しく思ったと語りました。かろうじて昨日今日のNHKの二夜連続の番組があるとも。

自身の体験として1942(昭和17)年にもらった剣道初段の免状をひきあいにだしました。授与者が東條英機、スポーツのすべての団体は東條英機が会長であり、そういう時代だったとふれました。

自分が国会議員として一番充実した活動をしたときは、小沢一郎氏が小選挙区制と政党助成金をおしすすめたときで、野中さんは両方に反対したそうです。またテロ特措法をふくめ、日本政府の今のアメリカ軍協力の度合いは恐ろしいものがあるともふれました。いつ戦争にまきこまれるかもしれないとも。

景気に関しては、生活実感もないのに、イザナミ景気をこえたなどと大臣が発言するなどは虚偽発言と指摘もしました。

過去を鑑として、アメリカ以外にもアジアとの信頼関係が大事なこと、中国やアジアとの交流の進捗に今、力を注いでいることを熱っぽく語りました。

現在、以前からかかわっていた重度障害者施設「京都太陽の園」理事長としての活動を続けているそうです。

参加者に、平和について考えなければという共感を与える講演でした。

以上 (前荷 進) 061211