佐藤正久氏の「発言」

イラクへの自衛隊派遣で陸上自衛隊の先遣隊長として、ヒゲの顔が当時テレビでお馴染みになった佐藤正久氏(現自民党参議院議員、7月の参院選自民党比例区で立候補し当選)が、8月10日・TBSニュースである「発言」を行い、他のマスコミにも報じられました。

マスコミ報道で関心を持っていたところ、8月25日北海道新聞夕刊「ニュースの視点」で、桂敬一氏の「『戦前回帰』へ危機感薄く」と題しての中で、そのことへの言及も読むことになりました。

「現状では意見に当たる、攻撃にあった外国友軍への武力支援について、そういう場面に遭遇していたら”あえて巻き込まれる”状況をつくり、支援行動をとるつもりだったとする趣旨の発言を行ったことだ。ーーー(中国からはじまった日本の15年戦争の発端をつくった)関東軍現地軍の発想と似たようなものではないか。」

私見ですが、以下の思いを持ちました。

ひとつは、安全なところへの人道支援の派遣だという、当時の小泉内閣の理由付けが、まったくのこじつけであることが、またひとつ明らかにされたことです。派遣された自衛隊側では戦地へ行く、そこでは武力行使もありうる、との認識を、少なくとも先遣隊長は持っていたわけですから。

さらに、幸運にも大きな事態に遭遇することなく帰ってきた佐藤氏が、どう舞い上がっていたか、どういう物事の判断基準の持ち主か、などを明らかにしてくれました。考え深い人間だとは到底言えない人物のようです。その男を持ち上げる側も問われなければなりません。

すぐこうした発言が報じられたこと(しかも自分から進んで言ったことで)は、幸いなことでした。まさかそうした発言が出るなどとは考えもしない取材でしたでしょうから、さぞ取材者も驚いたことでしょう。人の口にふたのできない時代になりましたが、当事者からの臆面もない発言というのは少ないでしょうから。

こんなにお粗末な人間がまかりとおる世の中にしないためには、何が必要なのか、考えさせられました。

以上 (世話人) 070826