永積洋子さん

2008年8月19日二本経済新聞「交遊抄」で、川勝平太(かわかつ・へいた)静岡文化芸術大学学長が、知人とそのひとの近況を伝えていました。

その人は、永積昭博士の夫人洋子さん。ご夫婦とも家族ぐるみのつきあいで親しいようですが、哲学者三木清の一人娘とのことです。長じて洋子さんは東大文学部の初代教授をつとめられるなど活躍され、今は悠々自適の生活におられるようです。

戦前の思想弾圧の結果、獄死させられた哲学者三木清。その身内の方の消息を目にしたのは初めてで、たいへんびっくりしました。

川勝氏は述べています。
三木清が獄中で死んだとき、幼い一人娘が残された。幼時に母堂を亡くし、突然に尊父を奪われ、天涯孤独になった少女のことが、ずっと気になっていた。」
たまたまの出会いでであった時の川勝氏の思いはどうだったでしょうか。それから夫婦ぐるみのお付き合いがはじまったようです。

私も不幸な境遇におかれた少女がまわりの支援で、立派に成長したことを知り、いささか感無量な気持になりました。暖かい社会ということは、こういう意味でもよいものですね。

以上 (前荷 進) 080819