「運命の人」ふたたび文芸春秋連載

今、月刊誌文芸春秋山崎豊子氏の「運命の人」第2部が連載されています。同誌に「運命の人」が連載がはじめられ、主人公が裁判で敗北するというところでひとくぎりとなっていました。間をおいてですが、第2部でその後を連載していました。気づくのが遅く、はじまっただいぶ後、今夏にわかったというていたらくでした。いわゆる沖縄密約事件をモデルに、小説としての「運命の人」です。連載がいったん終わったとき、いつからどのような形で連載が復活するのだろかと思いました。これで再開しないかもとさえ考えたのです。なにしろ山崎氏は高齢、健康上のことも十分中断の理由になります。

しかし、私は連載の再開とその望んでいました。国家の闇にきりこむ山崎氏の姿勢と、連載に踏み切った文芸春秋の態度に、非常に感銘を受けていたからです。それが再開されていました。無事完結を期待します。

モデルの元新聞記者氏は、いくつもの裁判の結果に屈せず引き続き行動しています。政府が国民を裏切って米国のためを図っていたのではないかとの重大疑惑に、本人も小説もまっこうから切り込んでいるのです。

かって山崎氏は、週刊新潮に「沈まぬ太陽」を連載、人を大事にしない企業とはどういうものかとの勇気ある提起を行いました。それにつづく「運命の人」、頭の下がる思いです。週刊新潮もえらかったと思うし、今の文芸春秋もたいしたものと思います。

再開をしって毎月目にするようになった文芸春秋で、矢野洵也氏の手記を読みました。元公明党委員長だった矢野洵也氏が、週刊新潮に連載政治コラム欄を新たに始めるなど、表舞台に登場してきました。一時ひっこんでいた印象があったのですが、出てくるに際しては、事情があったようです。

創価学会を家族ぐるみで脱会し、もっていかれたという資料とりもどしなどの訴訟を提起していました。公明党創価学会関係者よりさまざまないやがらせや脅迫ともいえる仕打ちを受け、堪忍袋の緒が切れてと、矢野氏は文芸春秋で語っていました。そうした言論出版の妨害ともいえる過程を経て、ふんぎりをつけての登場でした。本人は、古巣の公明党創価学会の、政教一致とも考えられる一体となった選挙活動も、遠慮なくまな板にのせていく気持のようです。

「運命の人」再開は、別なニュースも教えてくれることになりました。

以上  (与謝名阿寒) 081006