吉野文六氏、沖縄密約を認める証言

12月1日、大きな出来事がありました。1972年の沖縄返還をめぐっての外交文書を情報公開せよとの訴訟が、今春提起されていました。1日の公判で当時の外務省アメリカ局長吉野文六氏(91歳)が証言し、彼が交渉当事者だった日米政府による密約の存在を認めたのです。一枚岩で否定をしていた側からの証言、しかも実際に携わった者からの内部告発ともいえる証言でした。吉野氏はよくよくの覚悟だったに違いありません。

毎日新聞記者西山太吉氏がスクープした内容が真実だったことが確認された瞬間でもありました。西山氏(78歳)は、傍聴席で聞き入っていたそうですが、感無量だったに違いありません。証言後、ふたりは握手をしたそうです。そのあとの記者会見にも顔をならべていました。

西山氏の一貫した主張、それを支援した人々が引き出したものです。歴史の新しい1ページを開く出来事といってもよいかもしれません。山崎豊子さんの小説「運命の人」も、それにつながるエールの役割となったのでしょうか。

政権交代前まで政府(自民党あるいは自民党公明党)は、密約は存在しないと言ってきました。それはウソで国民をあざむいていたのではないかとの疑いが限りなく濃くなったのです。

ウソはいつまでも通用するものではない、との言葉を思い起こしました。いずれにせよ、きちんとした解明が進んでほしいものです。憲法の精神が発揮され、未来が良いものであるためにも。

以上 (あほうどり) 091202