「横浜事件、実質無罪」

横浜事件、実質無罪」、数日前このような見出しの新聞記事か、新聞紙面を大きく飾りました。またテレビなどでも報じられました。

横浜事件」といっても、すぐにはピンとこない人もいるでしょう。私の周りにも20代30代の人がそうでした。太平洋戦争末期、特攻警察によるでっちあげられたとされる言論弾圧事件、理不尽な取調べや裁判で、多くの人が獄につながれました。「悪名高い」治安維持法の産物のひとつでした。

当時の被告たち本人がそしてなくなったあとは遺族がひきついで、再審をもとめてきました。再審の道は開かれませんでした。いろいろな理由口実でです。しかし、司法判断の幅の中、賠償請求の道が開かれ、今回法廷でそれを認める判決がでたわけでした。今戦後64年長い道のりでしたが、ひとつの区切りを得たわけです。なくなった方々、今の遺族の方々、名誉回復に力を尽くされた方々へは、「本当におめでとう」と申し上げたい気持ちです。

私は若いころ、「昭和言論史の証言」という本によって、そのことを知る機会がありました。衝撃的事実、そして「治安維持法廃止」となったことで戦後の司法では、名誉回復の道にまったく背を向ける姿勢であることも。

しかし、それも「終止符」(どの程度のものかは私には判断がつきませんが)をうったようです。司法の場で、実質的名誉回復がなされました。そのことが「実質無罪」との表現につながっているのでしょう。「戦後」の終わり、新しい時代のはじまりを感じさせてくれた出来事でした。

事実を語り残すこと、語り継ぐこと、理不尽なことには声をあげること、その大事さを再認識させてくれました。現憲法下の日本の「良さ」も。本のうえだけで知って、「関心」だけをちょっともった私にも、強く響くニュースを届けてくれたのですから。

以上 (あほうどり) 100208