おすすめします 天木直人「さらば日米同盟」

元外交官天木直人さんは、ご本人がウェブマガジンなどで発言を続けています。6月21日講談社より新たな本を出版しました。「さらば日米同盟! 平和国家日本を目指す最強の自主防衛政策」です。

たいへんタイムリーな出版となりました。しかも、6月4日の菅内閣のスタートとその姿勢に対しても視野に入った内容でした。今参議院選挙が告示され、7月11日投票です。しかし、参議院選挙の結果がどうであろうとも、以降日本が対応していく大きな問題に対する国民ひとりひとりに考えさせる提言直言としての内容です。

「私は本書によって自分の考えを読者におしつけるつもりは毛頭ない。人は誰もそれぞれの意見をもてばよい。重要なことは、一人ひとりが日米同盟の真実を知り、その是非について自分の頭で考えることだ。考えたうえで自分の意見を持つことだ。その結果、日本国民がやはり日米同盟は重要だ、と考えるのであれば私はそんな国民の意見を尊重する。
 しかし、戦争国家米国の今後を見通す限り、日本は米国との軍事同盟から決別し、自主、自立した平和外交の道を歩み始めるしか日本の未来はない。そう私は確信している。その思いを書いたのが本書である。」(まえがき)

「しかし、鳩山首相に代わって6月4日に登場した菅直人民主党代表は、鳩山首相の不手際を見事に「フォロースルー」し、真っ先に日米共同声明を尊重する姿勢を見せた。日米同盟重視の自民党政権下の外交に回帰した。
 ここに至って、私は『さらば日米同盟』をなんとしてでも出版しなければならないと思うに至った。鳩山首相に対する助言のつもりで書いた『さらば日米同盟!』は、いまや菅直人首相に突きつける建白書となったのだ。」(あとがき)

天木さんは、「日米同盟」はその本質が軍事同盟と、言っています。なぜそうなのかの説明、しっかりした論拠に立っています。バランスのとれた目配りのきいた主張ともなっています。

「問題は、良好な日米関係を築くことイコール日米同盟を維持・強化することと決めつけるなということだ。言い換えれば、軍事協力抜きの良好な日米関係を築くことを追及する必要があるということだ。」(61ページ)

自衛隊イラク派遣違憲訴訟は、札幌からはじまり、全国各地の訴訟に拡がりました。天木さんは名古屋の訴訟での原告のひとりとしても行動しました。口火を切った元自民党代議士箕輪登さんを評価し、その最後の言葉を今もかみしめています。また専守防衛自衛隊であるべきだということでも、一緒です。

「さらば外務省」という著作で、当時の小泉内閣と外務省のイラク自衛隊派遣を批判した天木さんが、新たな「さらば日米同盟」を世に問いました。しっかり受け止め考えなければならない中味だと私は読後感で私は思いました。だからおすすめしたいのです。難解な表現ではなく、わかりやすい言葉で提言内容が語られていました。

現内閣の菅首相、岡田外相なども必ず読んでほしい本ではないかと考えました。菅直人首相は、故市川房枝の賛同者支援者から彼の政治家のとしての活動をスタートさせました。首相になって以来の彼の言動、鳩山内閣の副総理になった時点からかもしれませんが、マスコミ報道によれば沖縄の米軍基地のことなど以前の主張と違ったことを言っているようです。その「豹変(?)」ぶり、ご存命なら市川房枝さんはどう受け止めたでしょうか。

以上 (前荷 進) 100627