陸川(ルー・チュアン)「南京!南京!」

8月21日東京で中国映画「南京!南京!」の上映会が行われました。「史実を守る実行委員会」主催で、一日限りの上映会でしたが、多数の観客があったようです。映画監督陸川(ルーチュアン)氏も来日参加、あいさつを行いました。

というところまでは、上映会が行われることを伝えられたことからはじまり、後追いで知ったことでした。2009年に中国で公開上映された、「南京!南京!」は、1937年12月に日本軍が中国南京市を占領した際の「南京大虐殺」を真正面からとりあげた内容です。日本兵の描き方に中国国内で賛否両論が沸騰し、上映は2週間で打ち切り、中国内映画祭には出品できなくなったそうです。日本では、1回も上映されることがなかった映画でもありました。名前は知っていても私には幻の映画でした。

歴史的といえる今回の上映、とても見に行く時間も余裕もありませんでした。そういったチャンスはもうあるまいと残念に思っていたところ、上映会後の陸川監督と活字で出会うことになりました。9月5日「しんぶん赤旗月曜インタビュー欄」に登場していたのです。びっくりしてしっかり読むことになりました。

陸川氏は語っています。4年かけて完成させたそうです。1970年生まれの陸監督を動かしたものはなんだったのでしょう。
「日本で上映するのは本当に難しかったので、こうした形で実現していただき、感謝しています。これで終わりではなくスタートにしたい」
「この映画を歴史を知る道具にして、事実と向き合ってほしい」「ほとんど全てのシーンに証拠があります」

また上映会場での陸氏の発言も次のようなものが含まれていたようです。日本人への重い問いかけでしょう。
「この映画の終着点は日本です。ドイツはナチスの罪を認め謝罪しました」

日本で上映会がもっと開かれることを強く願う気持ちになりました。そうして私も実見したいとの思いも。

ところで中国本土内の映画事情はどうなのでしょう。チャン・イーモウ監督の「活きる」は、何十年にわたるある中国人一家を描いた映画です.毛沢東崇拝を強いた「文化大革命」をそのなかで正面からとりあげ、その問題点を鋭く突いた映画でした。これは以前に日本国内で上映されたものを観る機会がありました。見た後中国在住者と話したところ、中国国内で上映は認められていないものだと聞かされ、驚いたことがあります。ただ海賊版のDVDが非常に出回っており、その中に「活きる」もあって、多くの人が見ているだろうとも付け加えられました。中国だろうとどこだろうと「人の口に戸は立てられない」時代のようです。「南京!南京!」もそういった扱いに含まれていなければよいのですが。

以上 2011年9月7日 世話人