重い問いかけ 在韓日本大使館前「平和の碑」

12月14日韓国の首都ソウルにある在韓日本大使館前に銅像「平和の碑」が設置されました。手を膝の上に置いた短髪の少女の像です。碑には、韓国語、英語、日本語で「1992年1月8日からここ日本大使館前で開かれた日本軍慰安婦問題の解決を促す水曜デモが、2011年12月14日に1000回目を迎え、その崇高な精神と歴史を受け継ぐため、この平和の碑を建てる」と碑文が記されているそうです。市民の寄付で制作されました。

19年11ヶ月にわたる水曜集会のあいだ、当初234人いた身元を明らかにした元慰安婦は生存者は今63人だそうです。当時少女ともいえる女性たちのイメージを象徴するような像かもしれません。

18日訪日した李明博韓国大統領は、この問題をとりあげて発言しました。日本と日本人に対する、重い問いかけといわなくてはなりません。

韓国の新聞朝鮮日報は19日の社説(日本語版)で、「首脳会談で『平和の碑』撤去を求めた野田首相」と題して書きました。後半部分を引用します。

野田首相は『平和の碑』の撤去といったとんでもない話を持ち出したが、これは日本が慰安婦問題をいかに安易に考えているかを示している。李明博政権が国内政治向けにこの問題を取り上げたと考えるのは大きな間違いだ。韓日基本条約には、条約の解釈や施行をめぐって紛争が起これば、まずは外交ルートを通じて解決し、それで解決しない場合には仲裁委員会を設置し、問題を回付するとの条項も定められている。韓国の憲法裁判所は今年8月、この条項に基づき、韓国政府が慰安婦の賠償問題について積極的に解決に乗り出さないのは違憲だとの決定を下した。韓国政府は、日本が最後まで外交的な協議に応じない場合、この問題が国際社会で広く認識されるよう世界に訴え掛ける案を推進していく必要がある。
 1993年にウィーンで行われた世界人権会議の決議文には慰安婦問題が盛り込まれ、2007年には米国下院と欧州議会で、日本に責任があるとして謝罪を求める決議案が採択された。経済大国の日本は、年間100億ドル(約7775億円)もの援助基金を拠出している。だが、日本がどんなにカネをばらまいたとしても、自分たちが犯した反人類的な犯罪をもみ消すのでは誰からの尊敬されない。そのことをわれわれは十分に悟らせなければならない。」

もちろん日本でも、慰安婦問題を考えている人は少なからずいます。14日、東京でも呼応するデモが行われ、外務省をとりまいたとの報道がありました。

「平和の碑」、日本と日本人を問い続けるものです。いまや韓国国民の多くが思っていることなのです。韓国外交通商部は、日本政府の撤去要求に「平和の碑の建立は、日本政府の責任ある問題解決と名誉回復を求めてきた被害者の思いが反映されたものだ」として拒否しています。これで解決したと受け止めてくれなければ、「平和の碑」は存在することになるでしょう。

自民党も抗議したそうです。いままで政権党として取り上げてこなかった政党ですが、いささか反省が足りないと思うのは私だけでしょうか。

札幌市でも過去に心ある人たちが元慰安婦に来ていただいての講演会も行われています。私も参加し話を聞く機会となりました。きぜんとしているものの、感情的ではないおだやかな訴えを老齢の女性が行っていました。そのことを、改めて思い起こします。

2011年12月22日 世話人