安倍晋三首相答弁「筆舌に尽くし難いつらい思いをされた方々」

2月1日しんぶん赤旗に、志位和夫日本共産党委員長が、1月31日の衆議院本会議で代表質問した内容と、それに対する安倍晋三首相の答弁をくわしく紹介していました。そのうち「慰安婦問題」に関する部分を紹介します。

志位和夫
『総理が日本軍「慰安婦」問題について軍の関与と強制を認めた「河野談話」の見直しをしていることについて、ニューヨーク・タイムスが、「日本の歴史を否定する新たな試み」と題する批判の社説を掲載するなど、大きな国際問題になっています。

日本軍「慰安婦」問題について、一部に、強制性を立証する文書がないことをもって、強制の事実そのものがなかった議論があります。しかし、この議論にかかわって、「河野談話」作成に直接携わった当時の石原信雄官房副長官は、つぎのように証言しています。

「通達とか指令とかいう文書的なもの、強制性を立証できるような物的証拠は見つけられなかったのですが、実際に慰安婦とされた人たち16人のヒヤリングの結果は、どう考えても、これは作り話じゃない、本人がその意に反して慰安婦とされたことは間違いないということになって、河野談話にしたわけです」

このように「河野談話」は、もともと強制性を立証する文書を見つけることはできなかったことを前提に、「慰安婦」とされた人たちの証言の真実性にもとづいて、これは真実のものだとして政府として判定して、政府として強制性を認めたものです。したがって、政府として「河野談話」を継承するという立場をとるかぎり、「強制性を立証する文書がないから強制の事実はなかった」などという議論を肯定する余地はまったくないと考えます。総理の見解を問うものです。

第2次世界大戦後の世界の秩序は、日本・ドイツ・イタリアによる戦争は、不正・不義の侵略戦争だったことを共通の土台にしています。この土台を覆す動きが万が一にも具体化されたら、日本が世界とアジアで生きていく政治的・道義的立場を失うことになることを、厳しく警告して質問を終わります。』

安倍晋三
河野談話についてお尋ねがありました。これまでの歴史の中では多くの戦争があり、そのなかで女性の人権が侵害されてきました。21世紀こそ人権侵害の無い世紀にすることが大切であり、日本としても全力を尽くしていく考えであります。

慰安婦」問題についても、筆舌に尽くし難いつらい思いをされた方々のことをを思い、非常に心が痛みます。この点についての思いは歴代総理と変わりはありません。また私としてはこの問題を政治問題、外交問題化させるべきではないと考えています。

いわゆる河野談話は、当時の河野官房長官によって表明されたものであり、総理である私からはこれ以上申し上げることは差し控え官房長官による対応が適当と考えます。』

日本の新聞各紙も取り上げていました(ただし小さく)。それが私の最初の気づきでした。国際的には赤旗報道によれば、韓国紙、ロイター通信が報道したそうです。反響は大きなものがあったようです。

そういえば米国のニューヨーク州議会上院で1月29日『世界中に「慰安婦」として知られるようになった人々に賛辞を呈したニューヨーク州の記念碑を記念する決議』が採択されたと1月31日赤旗が、1面トップで、決議全文を6面で、報じていました。1930年代から第2次世界大戦を通じて、およそ20万人の若い女性が脅迫されて、強制的な軍による売春行為である「慰安婦」に組み入れられてと、決議文章には盛り込まれていました。これは1997年8月のカルフォルニア州議会決議に続く州レベル決議だそうです。

国際感覚でも悪い意味でのガラパゴスに我々日本人がならないよう考えて行く必要があるようです。受け止め方の違う者が意見を交し合うことをもっともっと心がけなくてはと私は感じてしまいました。

安倍晋三氏は、志位氏の投げ掛けをきちんと受け止められたのでしょうか。安倍氏の今後の言動見守っていきたいと思いました。

2013年2月2日 前荷 進