天皇の政治利用は憲法違反

4月28日に「主権回復の日」と称する式典を、安倍内閣は、政府行事として行おうとしています。天皇の出席も予定されているとか。

沖縄では「屈辱の日」とされる4月28日なのに、「主権回復の日」する認識は私にはたいへん違和感があります。そのひとつに、天皇の政治利用ではないかとの疑問も発生したことがあります。それが当たっているとすれば、現日本国憲法から照らすと憲法違反の疑い濃厚ではありませんか。

私の危惧、懸念に対し、志位和夫日本共産党委員長が、見解を発表しました。4月23日しんぶん赤旗の報道で、その詳細を伝えています。「憲法に反する天皇の政治利用をやめよ − 『主権回復の日』式典の中止、天皇に出席を求める方針の撤回を要求する」です。1面トップの全文は、たいへん妥当な認識と要求内容と受け止めました。さらに2面では記者会見での質問とそれに対するやりとりを掲載しており、これも懇切な内容でした。私も勉強になりました。やりとり引用します。

「質問)天皇が仮に(式典に)出席しなかった場合には、安倍政権の責任ということになりますか。

志位)その場合は、責任はあげて安倍政権が負うことになります。
憲法が定めている『国事行為』については、天皇の意思が介在する余地はありません。天皇の意思によってこれを行うこともできませんし、これを行うことを拒否することもできません。すべては『内閣の助言と承認』によって行われます。
私たちは、それ以外のいわゆる『公的行為』について、『国政に関する権能を有しない』という憲法の規定に反するものでなければ、一概に反対するものではありません。たとえば天皇が大震災の被災地を訪問したり、追悼式典に参加することなどを、否定するものではありません。
ただ、今回の式典のような、明らかな政治的意図をもったもの、国民のなかで意見が分かれるようなものについて、天皇の出席を求めることは認められるものではありません。
仮に天皇の側が、『式典に参加しない』という判断をした場合には、憲法第4条の『国政に関する機能を有しない』、憲法第1条の国民主権にもとづく『国民統合の象徴』、憲法第99条に規定されている天皇憲法遵守義務にかなった判断として、当然の判断ということになります。
天皇が仮に出席しなかった場合には、その責任はあげて、憲法に反する行為を天皇に行わせようとした安倍内閣が追うことになります。

質問)安倍内閣が行おうとしていることは、天皇を傷つけることになるということでしょうか。

志位)憲法上、天皇は、国民主権主義にもとづく『国民統合の象徴』とされています。その天皇に国民世論が割れている行為を行わせたり、政治利用をはかることは、『国民統合の象徴』としての天皇の立場を損なうことになります。
天皇を政治利用するな』『天皇を巻き込むな』という声が、国民の中で起こっていますが、これは当然の声だと思います。」

たいへんいきとどいた回答をしていると思いました。このほうが国民の常識であることでしょう。安倍晋三首相、まことに不確かなこじつけで「式典」、沖縄は当日抗議集会とか。安倍内閣の迷走この点でもはじまったのではないかと考えたのは、考えすぎでしょうか。

幕末期、薩摩長州などの志士たちは、当時の天皇のことを「玉、玉」と呼んだそうです。利用できる要石と考えたこともあったのでしょう。安部首相が、さらに俗な天皇利用を発想したとは思いたくないのですが。歴史から学ぶ、彼に求められる点であるかもしれません。しばらく前の日本は、天皇の名前を使えば国民にひどいことも強いれた時代があったのですから。

2013年4月24日 世話人