自民党の5つの大罪?

札幌で、元通産官僚(現経済産業省)の古賀茂明氏氏の講演を聞く機会がありました。講演のなかで私が注目したのは、自民党が総選挙で復権し、今安倍内閣となったことに対し、手放しで評価しているわけではないことでした。

自民党が政権を追われたのは5つの大罪を犯し、それを有権者に厳しく問われたからだ。今回の復権、それを反省して今後にのぞもうとしているのだろうか、との問いかけが、聞いている人々にありました。

その5つの大罪とは、項目を列記すると以下のようになります。
(1)借金大国にしたこと
     景気対策と称して公共事業の大盤振る舞い。1000兆円の借金のうち900兆円は自民党時代の積み上げ
(2)少子高齢化の対応をしなかったこと
     1兆円使えば相当変わる、ただ効果は子どもたちが社会に出て行く20年後。逆に言えば、20年前30年前に
    分かっていたことを何もしてこなかった
(3)成長できない経済をつくったこと
     先進資本主義国で日本だけが20年間成長していない
(4)原発
     電力会社まかせ・安全神話への責任
(5)外交・安全保障
     国交回復時の沖縄・尖閣諸島問題の中国側申し出の黙認以降の経過がある。これから強気では問題が大きい

自民党の5つの大罪」、なるほどの提起と私も考えていくことにしました。古賀氏は、接している政治家にどんどん自分の意見や質問をぶつけていってほしい、それがこれからの政治に必要なことだ、傍観者ではすまされないし許されないと、しめっくっていました。

傾聴に値する意見と受け止めました。政治は国民ひとりひとりのものでなくてはなりません。そのためにも自分の考えをまとめていかなくては。

2013年3月30日 世話人

前泊博盛編著『本当は憲法より大切な 「日米地位協定入門」』

3月に上記の本を読みました。たいへん教えられる本、考えさせる本と出合ったことになりました。私の認識がじつにいいかげんだったこともようやく理解したことになりました。

沖縄の地元紙琉球新報で27年間記者をやってきて、今は沖縄国際大学で研究者の前泊さん、誠実に現実に向き合ってきた人だったのでした。

「はじめに」のなかで、前泊さん、本書の意図するところをわかりやすく書いています。そのなかいくつか引用させてもらいます。

『「宗主国と植民地」
これは「犠牲のシステム 福島・沖縄」(集英社)を書いた東大教授の高橋哲哉さんの言葉です。高橋さんはこの本のなかで、日米両政府を「宗主国」、沖縄を「植民地」と位置づけています。
ーーー
「あーあ、ついに言われてしまった」
失望と同時に脱力するような思い。
たしかにこれまで私が新聞社の仲間といっしょに積み重ねてきた、膨大な事件取材やインタビュー、そこから論理的に考え、見直してみると、そう言わざるをえないのです。』(2−3ページ)

『ここでみなさんに注目してほしいのが、「平均150メートル(500フィート)」で(オスプレイの)超低空飛行訓練をするという、米軍発表の内容です。なにかおかしくないですか?
ーーー
絶対におかしいですよね。車におきかえてみると、
「米軍の車両に関しては、高速道路の時速制限は『平均100キロ』」とする」
と言っているのと同じことなのです。つまり日本の法律を守るつもりは、初めからないということです。どうしてこんなことが許されるのでしょう。』(6−7ページ)

『この本を読んだみなさんは、おそらく
「沖縄は日本なのか」
「沖縄はまだ米軍の占領下にあるんじゃないか」
という思いは共有してもらえると思います。それはだれの目にもあきらかな現実だからです。でも、そこからもう一歩踏みだして、
「では、日本は独立した主権国家なのか」
「もしかしたら、日本全体がまだアメリカの占領下にあるんじゃないか」
という問題に向き合ってもらえればと思います。米軍基地やオスプレイの問題だけではありません。冒頭でのべた原発事故やその再稼動問題、TPP参加問題、検察の調書ねつ造事件など、多くの問題を生みだす原因が、そこには隠されているからです。』(11ページ)

「あとがき」のしめくくりは以下のとおりです。

『2009年の総選挙で民主党がかかげた「対等な日米関係の構築」というマニフェストは、戦後日本がなかなか達成することができない悲願、宿願ともいえます。
2012年末の総選挙で復権した自民党政権にとっても課題は同じです。その課題解決、実現の試金石となるのが、日米地位協定の改定であり、米国との単独安保体制の見直し、多国間安保体制の見直し、多国間安保体制の構築であると思います。戦後日本人が見失ってきた「自主独立」の気概が、いまこそ試され、求められています。』(396ページ)

本書の構成は、「はじめに」と「あとがき」を別にすれば「PART1 日米地位協定Q&A」「PART2 外務省機密文書『日米地位協定の考え方』とは何か」「資料編 『日米地位協定』全文と解説」となっています。

「PART1」の冒頭の質問に対する回答には、私の無知を思い知らされる内容が載っていました。

『どんな国の外交官も、出入国のとき、一般とは別の出入口ではあるものの、ちゃんとパスポートを提示して出入国審査を受けますよね。当然です。
ところが米軍関係者はそうした手続きをいっさい行わずに、基地に到着したり、基地から飛び立ったりしているのです。つまり基地の敷地内は実質的にアメリカ国内としてあつかわれているわけですが、そこからフェンスの外に出るとき、出入国審査はもちろんありませんので、日本政府はいま日本国内にどういうアメリカ人が何人いるかについて、まったくわかっていないのです。』(35ページ)

天木直人氏、孫崎享氏、共産党などにも言及されています。幅広い視野で物事を見ていこうという姿勢の反映でもあるでしょう。

本書に出会えたことに感謝しました。それから得たものから私は何をしなければならぬかを考えていきたいと思っています。第1弾孫崎享「戦後史の正体」、第2弾が前泊博盛編著「日米地位協定」の「『戦後再発見』双書」でした。出版した創元社の姿勢に感心させられました。続巻も期待せざるを得ません。

2013年3月26日 与謝名 阿寒

日本共産党の参院選「野党選挙協力」の姿勢を知って

3月16日付けしんぶん赤旗で、参院選野党協力についての考えを報じました。「脱原発かながわ勝手連」より寄せられていた野党の協力についての要請への回答を文書で手渡したそうです。各党の代表者宛となっている要請のようです。「お答え」の全文として報じられているものをまず紹介します。

『来るべき参議院選挙にむけて、みなさんから「『大合流』の要請」という文書を頂きました。私たち日本共産党の考えを簡潔にお答えさせて頂きます。
みなさんの要請文書は、12の「政党」にたいして、「大同団結、とりわけ比例区では大合流を、選挙区では選挙協力を」と求めておられます。その理由は「先の衆議院選挙において、原発ゼロを掲げた政党が乱立した結果、有権者の『原発ゼロ』の思いを託した票が分散し、死票が多く出たーー同じような過ちを繰り返して欲しくありません』ということです。
参院比例代表選挙は全国1区の大選挙区で、政党への支持率がそのまま議席に反映するもっとも民主的な制度であり、『死票』はきわめて少なく、すべての党が議席を増やせる可能性があります。みなさんのいう「大合流」は必ずしも鮮明ではありませんが、参院比例選挙の性格に照らして、その必要性も可能性もないと考えます。各党がそれぞれ全力を尽くして議席を増やす、そして選挙後の国会で一致点での協力を積極的に追及する(日本共産党は最も熱心にやっています)−これでいいのではないでしょうか。
選挙区での「選挙協力」についてですが、私たちは、国政選挙での政党間協力の基本的なありかたについて、つぎのように考えています。
協力する政党が中央レベルで協議し、①協力して実行する政策(内政・外交を含む国政の基本にかかわる一定の包括的な政策を明記した政策協定、②どの選挙区でだれを共同の候補者にするか、また選挙協力を具体的にどう進めるかなどの内容を含む組織協定ーこの2つの協定を結び、国民に公表して協力する。それにくわわる政党の関係は、対等・平等であり、候補者の調整もギブアンドテイクの原則にもとづいておこなう。
日本共産党とこのような協定を結ぶ条件や意志のある政党があれば、私たちは当然積極的に協議します。しかし、現在このような協定を日本共産党とかわそうという政党は存在しません。なんの協定もなしに、日本共産党の候補者をおろしたり、党籍をはずしたりすることを求めるのは、「選挙協力」とは似て非なるものです。上記の条件に欠ける「協力」は、協力ではなく、野合のそしりを免れないでしょう。
参議院選挙で、「原発ゼロ」の日本、よりよい日本への前進ができるよう、日本共産党は、みなさんとともに全力を尽くす決意です。

2013年3月15日 日本共産党

要請した12政党とは、社民、新社会、新党今はひとり、新党大地新党日本、生活の党、日本共産党日本未来の党みどりの風民主党みんなの党だそうです。脱原発原発的な政党はこんなにいろいろあったのかと私は驚いてしましましたが。

回答を読んでみて、それなりに筋をとおした文書だと受け止めました。こういう考えなのかと、知った次第です。要請に対するものとしても意を尽くす努力は払われているようです。選挙協力というものも簡単にはいかないものだなとも思いました。

これからの参議院選挙,ここの12政党ばかりではなく、自民、公明、維新もあります。また個人としても組織としても新たに名乗りをあげるところもでてくるかも知れません。昨年の総選挙では自民党が大勝しました。また、、維新の会が、なにやらわかりづらい急造合併組織で総選挙に臨み、既存政党も上回る比例票を獲得しました。

自民公明維新に比較すると、上記12政党あわせても圧倒的少数です。しかも脱原発だとしても、さまざまな濃淡があるはずです。脱原発、反原発でまとまりのある声をどう結集したり、結果に反映させたり、ができるだろうか、と考える人がいろいろいて当然です。「脱原発かながわ勝手連」のような声が今回でてきても私は不思議に思いません。

共産党の「お答え」について言わせてもらえば、回答に一理あること内容が相手とかみあう努力がされていること、は確かです。しかし、ひとこと言わせてもらえば、それで済んだ問題としてほしくはありません。

共産党の敷居はわかりました。一致点のある相手(他党を含め)にたいする態度もわかりました。でも、全国民、少なくとも脱原発を願うさまざまな人たちへの共産党の目線認識は、「お答え」の中では十分に示されていないと受け止めました。全国比例代表選挙が、国民の声をよくわかるように反映するとすれば、脱原発過半数の声であることを認めざるをえない結果を出すようにしていくことが必要なのです。それにつながる意味で12政党そのためのそれぞれの努力、結果としての伸張が求められているということになるわけです。

共産党もその中で確固とした立場をさらに固めるよう努力しているはずです。自分たちだけしか見えていないわけではないでしょうが、まだ内向きと周りから受け止められるおそれはないでしょうか。自らの得票目標では、過半数にいたらないことは確か、それも努力しなければ到達しない目標なのですから。未来を見据えていく立場なら、なおのこと、さまざまの人たちと一緒にやっていくことを自他共に思うようでなければ。「お答え」にとどまらぬ視野と見識をこれからどんどん示していってほしいものです。

2013年3月17日 前荷 進

櫻井よし子氏講演を聞いて

2月2日札幌で櫻井よし子氏を講師とする講演会がありました。主催全日本不動産政治連盟政経セミナーです。近年でも何度か札幌で彼女の講演会はやられています。一度は本人の話をじっくり聞いてみたいと思っていた私でしたので、この機会に申し込みをして出席しました。

「日本の進路と誇りある国づくり」と題する講演、聞いた私の受け止め方は、複雑でした。

かって日本でのエイズ問題では、櫻井よし子氏はジャーナリストとして問題点を指摘し、患者側に立った主張を展開していました。その点で、プラスの役割を果たしたひとりです。当時のエイズ患者川田龍平さんの実名告発が大きく閉塞状況を変えていったエイズ問題でしたが、多くの支援激励の声もあがり、櫻井氏もそのひとりでした。過去の活動のその点については私は肯定的な評価をしてきました。しかし、今回の講演を聞いてみると日本がどうあるべきだといったの面の彼女の主張にはたいへん否定的な評価をすることとなりました。

講演内容は、私の理解を、ひとくちでいえば、ご本人の思い込みを聞かされる場でしかなかったということでした。

実際に講演を聞いていない人に、内容を詳細に伝えることなしに決めつけた言い方で、予断を与えるような発言はするべきではありません。多少講演の要点にふれ、私の感想を述べることにします。

最初は、中国の現最高指導者などについての見方を述べることからはじまりました。講演の過半がそのことに費やされたといっても過言ではありません。それは現トップ習近平氏が中華思想中国共産党礼賛、軍事優先などを就任以来述べており、認められるものではないとの櫻井氏の意見でした。とりわけ尖閣列島では日本側の自制にもかかわらず目にあまる中国側の姿勢と強調しています。一触即発戦争前夜の状況と強調していました。終りには、南京大虐殺慰安婦、これはありもしなかったとし、17条の憲法、5か条のご誓文を持つ日本には考えられないことだとしめくくっていました。これからの日本を考えるうえで、欠かせない点であると。

日本が今中国韓国と領土問題を抱え、その対応に苦労している、それは事実です。しかし、それについては、国内でもさまざまな人が意見を述べ、論議にもなっていることです。石原慎太郎東京都知事が、火をつけ問題をいたずらに感情的に大きくしたことを、指摘する人も少なくありません。何も問題がなかったのに、中国がという論陣は、一面的すぎる主張でしかないというのが私の気持ちです。「大東亜戦争」と称した戦争で、負けたのは米国に対してだけと言うのも、論理の飛躍です。

南京大虐殺慰安婦はなかったとすることにも驚かされました。そう言っている人の実例を目の当たりにしました。かっての「南京大虐殺は幻だった」という本がでたりしてから、南京事件否定論はいろいろ形を変えて出されてきています。各種のそれについては、ていねいな反論が積み重ねられていること、その説得性は、否定論よりもあることを、私なり理解してきました。慰安婦問題についてはなおさらといわなくてはなりません。櫻井氏は自分の思い込みを語るだけの人物であるようです。クリントン国務長官が言った「性奴隷」表現、最近の米国ニューヨーク州議会の日本軍慰安婦問題での決議、それらの重みはきちんと我々日本人は受け止めなくてはなりません。

一方的論難と理屈付けを聞かされたと言う印象をもたざるを得ませんでした。メリハリをつけた話し方はうまい、というべきでしょう。しかし、櫻井流独演ショーの域を脱しない内容は、残念ながら、その見識言動が、適当ではないケースの見本でした。しかし、論証検証抜きの本人の思い込みを、ああまでまくしたてる人がいるのか、の実例という意味では、たいへん貴重な体験をさせてもらいました。

面白おかしく一方的な話をして、自らの「思い込み」を刷り込ませる、そんな独演会のように受け止めてもどることになりました。有名な人の面白いわかりやすい話を聞いた、そうかと額面どおり受け止めたという人もいるでしょう。ファンといった雰囲気もただよわせる人もいたようですから。

過去の歴史から学び今に生かす、その姿勢を決定的に欠いた櫻井よし子氏は、私にとってはもはやジャーナリストではありませんでした。

ひとつひとつにていねいな自説や納得している意見をぶつけていく、相手にも周りにもその態度姿勢を認めさせていく、肝心なことかもしれません。実態をともなわない大風呂敷や大言壮語と考えられる発言には、なぜそう思われるのか冷静な対置意見も相手の数に負けず求められるのでしょう。また、これこれの別な見方や意見がありますということの紹介ももっとしていかなくてはならないようです。

沖縄自治体首長などのオスプレイ配備反対の東京集会がありました。その人たちの銀座デモには、「中国の手先」みなしの罵倒があびせる人もいたとか。顔も名も見えてこないがののしる場には「動員」されて登場する人たちがいるのも現実の一面なのでしょう。しかし、説得力にはおよそほど遠い言動といわざるをえません。それは刷り込まれた「思い込み」での反射行動に走る人も虎の威を借りてならしやすいのでしょう。

私にとっては、自らの「思い込み」ははたしてどうなのかと、反面教師として振り返る機会にもなりました。「思い込み」に「思い込み」をぶつけてみるが、周囲からは理解されない、そんなことにエネルギーを使わないようにしたいものです。こうした見つめなおしと気づきができたという意味では櫻井よし子氏には感謝しなくてはならないかもしれません。

2013年2月5日 世話人

安倍晋三首相答弁「筆舌に尽くし難いつらい思いをされた方々」

2月1日しんぶん赤旗に、志位和夫日本共産党委員長が、1月31日の衆議院本会議で代表質問した内容と、それに対する安倍晋三首相の答弁をくわしく紹介していました。そのうち「慰安婦問題」に関する部分を紹介します。

志位和夫
『総理が日本軍「慰安婦」問題について軍の関与と強制を認めた「河野談話」の見直しをしていることについて、ニューヨーク・タイムスが、「日本の歴史を否定する新たな試み」と題する批判の社説を掲載するなど、大きな国際問題になっています。

日本軍「慰安婦」問題について、一部に、強制性を立証する文書がないことをもって、強制の事実そのものがなかった議論があります。しかし、この議論にかかわって、「河野談話」作成に直接携わった当時の石原信雄官房副長官は、つぎのように証言しています。

「通達とか指令とかいう文書的なもの、強制性を立証できるような物的証拠は見つけられなかったのですが、実際に慰安婦とされた人たち16人のヒヤリングの結果は、どう考えても、これは作り話じゃない、本人がその意に反して慰安婦とされたことは間違いないということになって、河野談話にしたわけです」

このように「河野談話」は、もともと強制性を立証する文書を見つけることはできなかったことを前提に、「慰安婦」とされた人たちの証言の真実性にもとづいて、これは真実のものだとして政府として判定して、政府として強制性を認めたものです。したがって、政府として「河野談話」を継承するという立場をとるかぎり、「強制性を立証する文書がないから強制の事実はなかった」などという議論を肯定する余地はまったくないと考えます。総理の見解を問うものです。

第2次世界大戦後の世界の秩序は、日本・ドイツ・イタリアによる戦争は、不正・不義の侵略戦争だったことを共通の土台にしています。この土台を覆す動きが万が一にも具体化されたら、日本が世界とアジアで生きていく政治的・道義的立場を失うことになることを、厳しく警告して質問を終わります。』

安倍晋三
河野談話についてお尋ねがありました。これまでの歴史の中では多くの戦争があり、そのなかで女性の人権が侵害されてきました。21世紀こそ人権侵害の無い世紀にすることが大切であり、日本としても全力を尽くしていく考えであります。

慰安婦」問題についても、筆舌に尽くし難いつらい思いをされた方々のことをを思い、非常に心が痛みます。この点についての思いは歴代総理と変わりはありません。また私としてはこの問題を政治問題、外交問題化させるべきではないと考えています。

いわゆる河野談話は、当時の河野官房長官によって表明されたものであり、総理である私からはこれ以上申し上げることは差し控え官房長官による対応が適当と考えます。』

日本の新聞各紙も取り上げていました(ただし小さく)。それが私の最初の気づきでした。国際的には赤旗報道によれば、韓国紙、ロイター通信が報道したそうです。反響は大きなものがあったようです。

そういえば米国のニューヨーク州議会上院で1月29日『世界中に「慰安婦」として知られるようになった人々に賛辞を呈したニューヨーク州の記念碑を記念する決議』が採択されたと1月31日赤旗が、1面トップで、決議全文を6面で、報じていました。1930年代から第2次世界大戦を通じて、およそ20万人の若い女性が脅迫されて、強制的な軍による売春行為である「慰安婦」に組み入れられてと、決議文章には盛り込まれていました。これは1997年8月のカルフォルニア州議会決議に続く州レベル決議だそうです。

国際感覚でも悪い意味でのガラパゴスに我々日本人がならないよう考えて行く必要があるようです。受け止め方の違う者が意見を交し合うことをもっともっと心がけなくてはと私は感じてしまいました。

安倍晋三氏は、志位氏の投げ掛けをきちんと受け止められたのでしょうか。安倍氏の今後の言動見守っていきたいと思いました。

2013年2月2日 前荷 進

加藤紘一氏慰安婦問題を語る

安倍晋三首相が年末サンケイ新聞のインタビューに対し、慰安婦問題で河野洋平官房長官談話(1993年)の見直しを表明したようです。それについてはあちこちで論評されています。

しんぶん赤旗日曜版1月20日号4面が「『慰安婦問題』 河野談話見直し 世界の常識は『人道の罪』」と題しての記事でした。そこに、加藤紘一氏(元内閣官房長官、前衆議院議員、元自民党幹事長)が登場して発言しています。

「右バネききすぎ外交上問題

朝鮮半島出身のいわゆる『従軍慰安婦』問題については、私が宮沢喜一内閣の官房長官だったとき、91年12月から92年7月まで調査しました。

関係資料が保管されている省庁で調べて、『慰安所の設置、慰安婦の募集に当たる者の取り締まり、慰安所施設の築造・増強、慰安所の経営・監督、慰安所慰安婦の衛生管理、慰安所関係者への身分証明書の発給等について、政府の関与があったと認められた』と結論を出しました。その時点で、すでに、政府として『筆舌に尽くしがたい辛苦をなめられた全ての方々に対して、改めて衷心よりお詫びと反省』を表明しました。

私の次の河野洋平官房長官のときに、さらに調査して『強制性』を認めました。この一連の調査や見解をくつがえそうという今の動きに、私としては賛成できないし、右バネがききすぎて、外交的にも大丈夫なのかと思います。

こういう状況になると、当然、近隣諸国が懸念を持つでしょう。近隣諸国ばかりか、アメリカもこの問題に強い関心を持っていることに私も驚いたことがあります。2007年安倍首相・ブッシュ大統領の会談では、安倍首相が『お詫び』せざるを得ませんでした。アメリカは、人種問題という点からこの問題をとらえていたのでしょう。

近隣諸国やアメリカの関心は、軍の強制連行があったかなかったか、といった狭い議論ではありません。全体として人権侵害があり、それを否定するなど考えられないと見ているのです。」

安倍晋三氏は、政治家としての見識は、父方の祖父にも、母方の祖父にも及ばないようです。しかも「戦争を知らない子どもたち」の一人でありながら、日本国憲法九条を認めようとしていない自他共に許す靖国派です。

2007年3月10日付け朝日新聞にと、しめくくりに示されているマイケル・グリーン(元米国家安全保障会議上級アジア部長)発言も引用します。

「(連行)が強制されたかどうかは関係ない。日本以外では誰もその点に関心はない。問題は慰安婦たちが悲惨な目に遭ったということであり、永田町の政治家たちは、この基本的な事実を忘れている」

グリーン氏の発言は間違っているところもあります。永田町の政治家たちは、すべてが忘れているわけではありませんし、河野談話見直しを肯定しているわけでもありませんから。グリーン氏が知っている永田町の政治家たちはなのでしょう。

最近、鳩山元首相が中国を訪問し、南京大虐殺記念館にも足を運びました。総理大臣経験者では3人目だそうです。鳩山氏の中国での言動について、日本の現防衛大臣は、断定ではありませんが「国賊」という言葉が思い浮かんだと、公然と非難しマスコミにも報道されました。私はふと思いました。防衛大臣の発言に「売国奴ではないだろうね」と。なぜなら米軍のためなら沖縄県民の意志と真逆な人のようですから。

2013年1月22日 前荷 進

「しんぶん赤旗」で注目した記事について語ってみよう

しんぶん赤旗」を私は日刊紙日曜版ともに購読しています。最近注目した記事をとりあげてみました。あまり他紙と比較して論評したり、そのものへの論評は、関係当事者も含めて活発ではないようですから、多少の意味があるかもしれません。

しんぶん赤旗」日刊紙1月4日号1面トップは「日本は活断層だらけ 原発存続の余地なし 安倍政権は再稼動・新増設狙うが」でした。日本列島を走る活断層の状況を図「日本周辺の活断層の分布と原発の位置」(「新編日本の活断層東京大学出版会」などをもとに作成)でも示しています。

私見ですが、百歩譲って現存の原子力発電所建設当時には活断層というものについてよくわかっていなくてやむをえなかったかもしれません。しかし、今の学問の進展とわかったことの到達点からいうと、新増設はもとより、再稼動についても容認はなかなかできないものであることがはっきりしてきたようです。原子力規制委員会の専門家チームが大飯原発美浜原発志賀原発高速増殖炉もんじゅ、などで調査を実施あるいは予定しています。その判断がでてくることを固唾を呑んで見守っていく必要があります。

また1月1日号では、増ページ第2部25面でインド北部のウッタラカンド州アグンダ村を取材した「村の誇りは発電機 貧困軽減へ『小水力』自主管理」の記事がありました。

「3女の母グディ・デビィさん(40)は電磁調理器や電気ポットが並ぶ台所で『電気が来て、村の女の苦労は激減した』と笑います。
 発電機が稼動した2006年まで、たき木を集めるのは女性の仕事でした。毎日4〜5時間かけ、森を8〜10㌔歩いたといいます。
『今は10分で炊事が終わる。蛍光灯もつく。宿題を抱えた子どもたちが灯油ランプの周りに集まる必要もなくなった』
 村の収入にも変化がありました。かって羊毛を1㌔約150ルピー(1ルピー=1.5円)で出荷していましたが、村は羊毛をフェルトに加工する機械を導入。買い取り価格は1㌔約500ルピーに上がりました。」

「発電機の設置を国連開発計画(UNDP)がインド政府の協力で03年から実施」とあります。その活動の一環としてアグンダ村(人口約450人)が手を上げ、稼動の運びとなったようです。住民参加の設置と管理だそうです。

発電も地産地消で、やっていける好見本でした。苦労の軽減という意味では、かっての日本で電気炊飯器が開発販売され、家事労働の劇的変化を生み出したことを思い出します。電子はかりや電気ポットがならぶ台所の写真をしげしげと眺めるおととなりました。印象に残る記事でした。

日曜版では昨年1年間連載まんが「今日もいい天気 PARTⅡ」(山本おさむ)が掲載されました。PARTⅠがのどかな(?)福島での生活を描いていたのに対し、3・11以降の生活破壊の現実を直視した内容でした。今年1月にパート1が、2月にパート2が双葉社から発売されるそうです。それはたいへん意味があると思いました。赤旗も内容によっては注目されているのです。

私の体験から言うと、もっと読まれる新聞になってほしいものと考えています。しかしまだ限られた読者の新聞という印象です。それはなんでだろうと思ったりもするのですが。発行元共産党のせいなのか、読者のせいなのか、まだ解けない課題です。

2013年1月4日  前荷 進